豊田工大Release
豊田工業大学は開学40周年を迎えました。
~振返り展を開催しています。
2021.10.21
豊田工業大学は2021年1月16日、開学40周年を迎えました。
豊田佐吉翁 遺訓「研究と創造に心を致し、常に時流に先んずべし」を建学の理念として掲げ、豊かな人間性と創造的知性を備えた技術者・研究者を育てることと、時代に先んじた工学研究を進めることを目標に、開学以来独自の努力を進めて参りました。
2020年夏には新キャンパスが完成し、節目となる40周年という新たなスタートラインに立ち、この先も、モノづくりの発展に貢献してきた先人の強い志と情熱を受け継ぎ、未知の分野に果敢にチャレンジし、新しい道を切り拓いていく国際的視野を持った開発型人材の育成を目指していきます。
開学40周年記念振返り展の開催
開学からこれまでの40年の歩みを当時の写真などを使ってパネルにまとめ、中央棟内のダ・ヴィンチ広場において展示しています。
真新しい、緑あふれる、このキャンパスに皆様をお招きして、節目の年の喜びを享受するとともに、積み重ねてきた年月を振り返り、誇りを胸に、本学の未来について語り合っていただこうと、このパネルを制作しました。しかし、それがかなわず、誠に残念ではございますが、特設ページでもパネルをご覧いただくことができます。是非、先人たちが築き上げてきた、本学の成長の歴史をご覧いただければ幸いです。
40周年記念記念ロゴに込めた思い
学修において深い理解を得るためにも、研究において高い独創性を発揮するためにも、共通して必要となる「帰結に対応した理由に納得する」態度を重要視しつつ、本学での人材育成が展開される様子を、40周年の文字に絡む連続した3つの輪で表現しています。
3つの輪は、それぞれ、学士課程、修士課程、博士課程に対応し、輪の上下に打たれた点は理由でもあり帰結でもあって、帰結が次への理由となり新たな帰結へと繋がる連鎖を表しています。この長い連鎖を手繰る学修の先は、同じ連鎖を手繰る研究へと繋がり、これらの過程で育成される力は社会人として世界に新たな価値を提供する力へと熟成されてゆきます。
数字の4は未来へと力強く真っ直ぐに進む矢印となります。学修と研究のために必要な態度は、遠回りにも見える輪の連鎖で表現されますが、深い理解と高い独創性を着実に蓄積しつつ、間違いなく未来へと進んでゆきます。
学長メッセージ
本学は、トヨタ自動車の社会貢献活動の一環として1981年に開学しました。建学の精神は、豊田佐吉翁の遺訓「研究と創造に心を致し、常に時流に先んずべし」です。開学当初は社会人のみを受け入れる大学で、1984年には修士課程も開設しました。1993年に学部と大学院への一般学生の受け入れも始め、1995年には大学院博士後期課程を開設して、本学構造の骨格が整いました。
2003年には米国シカゴ市に大学院大学「豊田工業大学シカゴ校(TTIC)」を開設し、姉妹校として研究・教育活動の連携を深めています。国内では、南山大学様、愛知大学様、名古屋市立大学様と大学間連携協定を締結し、交流させていただいております。
開学以来、トヨタ自動車ならびにご関係の企業の皆さま、そして国からのご支援をいただきつつ、自由で闊達な教育・研究活動を展開しています。今回のリニューアルも企業の皆さま方のご支援のもとに実施されました。これまでのご支援とご鞭撻に心から感謝申し上げます。
本学は一学年100 名という小規模大学ですが、教員一人当たりの学生数は約 10名と密度高い教育・研究が可能な設計です。専門教育のほか、分野横断型工学基礎教育、実験・実習科目、学士課程から博士課程に至る教養教育、企業実習や海外研究インターン、海外語学研修や海外姉妹校・提携校との連携など、多様な教育・研究スキームを蓄積しています。今回のリニューアルでは、教育・研究施設やコミュニケーションスペース、学生寮と国際交流ハウス、クリーンルームと創造性開発工房など、大部分のファシリティが刷新されました。
本学は40周年ということで、「不惑」の年を迎えた訳です。開学の地に新たなキャンパスを構築して、これまでと同等の規模で活動することと致しました。そこに惑いはありません。その上で、教育と研究の密度を高める努力を積み重ねて参ります。学修で真の理解を得るには「帰結に対応した理由に納得する」態度が重要です。研究で真に斬新な成果を得るにも「帰結に対応した理由に納得する」態度が重要です。双方に共通したこの態度、すなわち「自ら論理的に考える」態度に拘りつつ、上記の多様な教育・研究スキームを効果的に機能させて参ります。この態度、論語にある「学びて思わざれば則ち罔く、思いて学ばざれば則ち殆し」に通じます。
工学の成果は社会を大きく変革し得ますので、工学に携わる者には「起こり得る未来に対する責任感」が求められます。その涵養には専門の学修だけでは不十分で、本学が教養教育に力点をおく理由はここにもあります。一方で、この責任を果たす判断の拠り所はひとつではない場合が多く、自らの「心」が拠り所となります。つまり「心」を磨き続ける必要があります。私は、本年古希を迎えます。まだ「従心」とは参りませんが、論語には気にしてきた一節があります。「子貢問ひて曰く、一言にして以て終身之を行ふ可き者有りや。子曰く、其れ恕か。己の欲せざる所、人に施すこと勿れ」。「恕」とは「思いやり」です。
新型コロナウイルス感染症は、まだ猛威を振るっております。本学では、学生と教職員の皆さん全員で、その罹患防止のための社会的責任を果たして参ります。その上で、新学期からは基本的に対面授業を実施する計画です。もちろん、遠隔授業も併用するなど、感染症の状況により柔軟に対処できる準備も致します。
豊田工業大学は、開学40周年の年、リニューアルされたキャンパスで、「学修」と「研究」の活動に邁進して「山椒は小粒でもピリ辛い」存在感を高めて参ります。
豊田工業大学 学長 保 立 和 夫
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