量子界面物性
表面・界面、量子構造、局所解析、太陽電池
表面・界面改質による新機能・物性創出
研究背景
ナノ構造・量子構造等を中心とした微細構造の表面・界面に絡んだ研究を行っている。
研究の基本方針:電子材料の物性は、1)選択する物質、2)その構造(大きさ・形状)、3)表面・界面で決まる。 そこで、適切な物質、精密に構造を作製した上で、表面・界面を制御することで、発光・吸光から電荷分離・貯蓄・化学反応への寄与、まで所望の物性を得ることを、特に量子効果を用いて目指す。
量子ナノ構造体の物性は、1)内部の電子準位、に加え、2)表面・界面の制御 により変わり、発光・吸光から電荷分離・貯蓄まで所望の物性を得ることができる。
エピタキシャル結晶成長による量子界面構造作製と物性
MBEによるIII-V化合物半導体量子構造等の結晶成長、新規成長法、成長機構の検討を行っている。 近年は特に量子構造の大きさ・歪制御、成長機構の理解に重点。 結晶成長法を工夫しユニークな構造を作り、その蛍光特性や光アップコンバージョン(UC:光短波長化)を研究している。 図はサブモノレイヤー(SML)積層法でInAs/GaAsの超薄膜を成長したもので、Stranski-Krastanov法とは異なる構造が得られ、2D→3D転移の制御で発光波長の精密制御が可能であり、また、高効率な光UCの実現が期待される。
SML法によるInAs/GaAs超薄膜成長のAFM像。2D→3D転移の精密制御により発光特性や光UCへの展開を目指す。
非エピタキシャル過程による量子界面構造作製と物性
液相化学、気相・固相反応などMBEと相補的なプロセスを用いて、量子ドットを含む微粒子や薄膜の作製とその物性計測や素子応用を検討している。 対象はII-VI, III-V, 酸化物、金属など。 蛍光材料の他、新規電極材料の開拓などを目指す。
コロイド化学を用いて合成されたCuInS2ナノ粒子。上はUVランプ励起による発光で、粒子サイズにより異なる色を発光している。
量子界面構造の局所物性計測
上記の手法で作製した構造を、電子・光・X線などを用いて局所計測している。通常のAFMに加え、ケルビンプローブ顕微鏡(KFM)を駆使した太陽電池の電極近傍やInAs量子ドットの表面近傍のポテンシャル計測、in situのXRDによるMBE成長中の歪格子系材料の格子定数の動的変化の観察、などにより、基礎的な解析と原理の解明、その素子応用を目指している。
劈開したSi-電極界面のKFM像。電極により、その界面の質が異なることが観察できる。