豊田工業大学 研究センタースマート光・物質研究センター
2016年度設立 センター長:大石 泰丈
【フロンティア材料研究室】高機能ファイバの研究開発
教授 齋藤 和也
主な研究内容・成果
①超低損失ファイバの開発
ファイバ紡糸中のガラス形成過程制御、および、②添加物による構造緩和の促進および濃度揺らぎによる光散乱増加の抑制、の2つの観点から超低損失ファイバの研究開発に取り組み、Ge添加シリカファイバで世界トップレベルの低損失化を達成。
②超高効率ファイバアンプの開発
Er添加シリカガラスのMCVD法による製造プロセスの改良、および、構造と光物性の相関の解明に取り組み、効率78%の高効率ファイバアンプの開発に成功した。
③高出力ファイバレーザーの開発
シリカプリフォームの作製技術の確立、ガラス構造とYb3+イオンの光学特性評価、PCFレーザーの試作等に取り組み、加工用Yb添加シリカファイバレーザー(スロープ効率87%で2kW発振)に開発に成功した。
④可視ファイバレーザーの開発
450 nm LDを励起源とした可視ファイバレーザーの開発に取り組んでいる。これまでに、Dy添加シリカファイバにおいてスロープ効率24%、最高出力135 mWの黄色レーザー発振に世界で初めて成功した。
⑤衛星間光通信用ファイバアンプの開発(JAXAとの共同研究)
衛星間光通信用ファイバアアンプでは、宇宙線耐性の向上が大きな課題となっている。ガラスの組成、活性イオン周辺構造の制御、ファイバ構造の最適化等を検討し、宇宙線耐性の大幅な向上に成功した。
⑥シリカガラス中の希土類イオン周辺構造の解明
ファイバレーザーやアンプにおいて最適な特性を得るためには、シリカガラス中の希土類周辺構造を明らかにすることが重要である。EXAFSを主に種々の測定法を併用して、解明に取り組んでいる。